活動報告

2020年04月15日(水)一覧に戻る

皆様お一人お一人の命とくらしを守り抜く
衆議院議員 新谷まさよし × 一般社団法人広島県医師会 会長 平松恵一氏
~新型コロナウイルス感染症の現状と取り組みについて(2020年4月11日対談)~

 世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルス。今回は衆議院議員新谷まさよしと、新型コロナウイルスに最前線で戦っている医療従事者を代表して、平松恵一氏(一般社団法人広島県医師会会長)とで新型コロナウイルス感染症の現状と取り組みについて語っていただきました。

新谷:本日は新型コロナウイルス対応などで大変お忙しい中、お時間をいただき、本当にありがとうございます。
平松:ご承知の通り、わが国でも新型コロナウイルスが猛威を振るっています。今朝(4/11)の段階で感染者が6200名程弱という状況です。新谷代議士は、これまでどのような取り組みをされてきましたか。
新谷:「緊急事態宣言」が4月7日に発出されましたが、これから爆発的感染が起こっていくかどうか、まさに瀬戸際の状況といえます。先日、厚生労働委員会・予算委員会・決算行政監視委員会で予算を含めたコロナウイルス関連の質疑を行いましたが、与党としても、医療系の議員を中心に、政府に対して必要な要望・指示を行っています。いずれにしろ、広島県内においても感染症指定病院以外で新型コロナウイルスの患者を診なければいけないという状況をできるだけ防いでいく必要があると考えています。
平松:医療提供者としては、新型コロナウイルスの爆発的な感染者の増加を心配しています。受け入れ可能な体制の整備が追い付くよう、こちらも努力したいと思いますが、提供できる医療体制をオーバーするいわゆる医療崩壊を大変心配しています。
新谷:まさに、会長がおっしゃったように医療崩壊を防ぐことが非常に重要で、軽症者に対しては徹底して外出を控えていただき、本人の回復を待つ間の管理が完璧にできる体制の整備が必要になります。宿泊施設で代用できる部分はお願いしていくことで爆発的な感染を防ぐとともに、人工呼吸器に関しても各メーカーに補助金を出して増産をお願いするなど、医療体制の整備が急務と考えます。

<感染予防と検査体制の整備>
平松:現在の感染予防体制と検査体制について説明させていただきます。広島県でも、急激に感染者が増えており、私どもも何度も議論しているところです。特にこの感染者の増加スピードが急激なことと感染経路がわからないいわゆる市中感染が増えていること、流行地から帰ってきた人の感染が増えていることから、大規模なクラスターの発生も危惧されています。一方で検査については、広島県の行政検査の数は100弱程度で推移し、これを超える数にはなっていません。「PCR検査」は、検体の採取に医師がきちんと防備をして実施する必要があり、全てを実施するのが困難なのが現状です。また、感染者数や濃厚接触者数が増え、入院患者が増えると毎日のように退院のための検査をしなければなりません。例えば広島県内の民間ラボが使えるように働きかけをしてほしいと考えています。
新谷:本当に、最前線でご尽力いただきありがとうございます。「PCR検査」自体が通常の医療では頻度が高いものではなかったとこともあったため、まずは、検査機器の増産体制に取り組んでいるところです。使える医療資源を最大限活用していくという意味で、当然民間の検査会社の皆様のお力もいただかなければなりませんし、国としても出来ることを最大限取り組んでいきたいと思います。
平松:「抗体検査」については、採血であればどこでも可能であり、ぜひ診療報酬のなかで認めてもらえる方向で検討いただければと思います。実際に対応に当たっている医療従事者の中にはウイルスを持ち帰る心配から家に帰りたくないという者もいる状況です。「抗体検査」の実施を、ぜひ考えていただきたいと切にお願いします。
新谷:鼻腔の奥の咽頭から採るという「PCR検査」の検体の採り方は医療従事者にとってかなり感染リスクがあります。採血でIgMかIgGが出れば一つの診断補助として成り立ちうると思いますので、今一度、厚生労働省にも要請をしていきたいと思います。

<治療薬とワクチンの開発>
平松:治療薬として、「アビガン」を含めて早く使えるようにして欲しいというのが皆さんの思いです。患者を診た医者は自身の感染を恐れて家に帰りたくないという気持ちでいます。出来ればそういう人にも予防的に薬が投与できるようにしたり、少しでも体調がおかしかったら早めに使えるようにすれば安心感が違うと考えており、対応を急いでいただきたいと思います。
新谷:現在、医師免許を持つ埼玉の古川俊治参議院議員と一緒に医療分野の研究開発について小委員会で取り組んでいますが、そこで、日本の医療分野の研究開発を進める国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)に予算を付け、研究を強く後押ししています。「アビガン」については、ウイルスの増殖を抑える効果が認められており、副作用に注意しつつ、必要な場合には使用できるようにしています。また、ワクチンは、まだこれまで開発の成功例がなく難しい挑戦になりますが、こちらもブレイクスルーが待たれるところです。こうした治療薬とワクチンの開発について、最大限加速して対応します。

<衛生用品の供給>
平松:マスク等の衛生用品の不足について、政府としても課題とされていると思いますが、そうしたことへの対応はどうなっているのでしょうか。
新谷:各世帯にマスクを配布するという取り組みをしていますが、供給量としては当然十分ではありませんので、今、各メーカーに24時間体制で増産をお願いしている状況です。マスクの効果としては、咳症状等がある方の咳エチケットのために用いるのが最大の効果だと思っていますので、マスクがない場合はご自宅でもガーゼを縫い合わせていただいたり、咳やくしゃみが出そうな場合はハンカチで覆ってもらうといったことをお願いしています。
平松:医療従事者にとって、診療にはどうしてもサージカルマスクが必要です。市場に供給するより、まずは医療機関にサージカルマスクを重点的に供給するよう政府の配慮が必要ではないでしょうか。現場にサージカルマスクがないために医療ができないという状況にもなっていますので、優先度を高めていただきたいと思います。
新谷:限られた数量の中での供給という現状ではありますが、医療機関に優先的に供給をと、繰り返し政府に申し上げています。今後も引き続き強く要請していきます。

<医療体制の整備と診療報酬について>
平松:患者の受け入れ体制について、感染症病床だけでは足りず、一般病棟を空ける動きがあります。まずは、公立病院を中心を担ってもらいますが、足りないところをどうするかを早急に考える必要があります。同時に今、医療機関は収入減や風評被害といった不安を抱えています。診療報酬での対応にご尽力いただけたらありがたいです。
新谷:その通りですね。厚生労働省をはじめ、政府に対して現場の声を届けていくためにも、そういった現場の実情については何でもお申し付け下さい。
平松:有床診療所のベッドは約9000あり、半数程度空いている状況です。有床診療所で一般の軽症の患者さんを受け入れられれば一般病院の病床が少しは楽になるのではないかと思いますので、協力して対応したいと思います。一方で軽症の方の受け入れに協力してくださる民間の宿泊施設を県が募集しています。これに手を挙げてくださる宿泊施設もあり、感染対策を徹底した上で対応いただくことになります。
新谷:宿泊施設の借り上げも、先日の厚生労働委員会で厚生労働省と議論させていただきました。政府専門家会議でも必要性が論じられており、東京都もすでに取り組んでいるところです。宿泊施設の従業員の皆様に感染することはあってはならないことですので、これに注意しながら進めるとともに、病床確保に繋がるよう、今日伺ったことをしっかり厚生労働省・政府に要請していきたいと思います。

<医師会から県民のみなさまへのお願い>
平松:各報道機関からも言われていますが、週末だけでなく、平日も不要不急の外出を控えていただくことが一番です。また、我々医師会会員の中から感染者を出してはならないため、会員の不要不急の外出もぜひ控えていただきたい。また、感染防止の為の飛沫感染・接触感染を防ぐ目的でマスクの着用と手洗いの実施というような基本的な事柄を実施していただきたい。医療関係者だけでなくすべての県民の皆様にもそれを実行していただきたいと思います。また、今言われております「3密」を防ぐこと、これを常に頭に置いた行動をしていただきたいと思います。今日いろいろお話しさせていただいたこと、これをしっかり国政に届けて頂きたい、働きかけて頂きたいと思います。
新谷:「緊急事態宣言」にもありましたように、政府・国・自治体だけでは感染を完全に閉じ込めることができません。いかに県民の皆様にお声がけして、県民の皆様にそれぞれの行動を変えていただくか、が何よりも重要だと認識しています。私も地元のために必要と思われる情報発信の役に立ちたいと考えていますが、今は皆さんと直接接することができないため、しばらくはSNSをはじめ、様々な媒体を通じて必要な情報をしっかり発信していきたいと考えています。また、本日、伺った貴重なお話につきましても、国に伝え、反映させ、現場目線での新型コロナウイルス対応の実現で、一日も早い収束に繋げていきたいと思います。本日はありがとうございました。